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#1623、2016年7月31日(日本語版)

(エレクトロニクス実装の最新海外情報)

■今週の話題

路線バスの車椅子用昇降装置

 米国で私が住んでいるマサチューセッツ州のHaverhillという町は、人口7万人足らずの市ですが、米国では中堅規模の位置付けになると思います。人口の規模で見れば、マサチューセッツ州の中で、5、6番目の大きさです。言い換えれば、大部分の町は人口の規模で数千にも届かないのですが、それでも市政と称しています。それだけ人口が希薄なわけで、“普通の生活”を営むには自家用車は必需品です。しかしながら、人口の何%かは車の運転ができないか、車を持つことができない人々がいるわけで、そのような人たちのために公共交通機関が整備されています。Haverhill市の場合、近隣の市をいくつかまたがってカバーするバスのサービスがあります。Haverhill市内には十本ほどの路線があり、昼間はそれぞれ1、2時間の間隔で運営されています。路線内は均一料金で、1ドル30セントです。62歳以上のシニアシチズンは半額になります。バス停のようなものは無く、路線の道端に立っていて手を上げて合図をすれば、止まってくれます。降りるときは、運転手さんに、降りたい場所を告げておけば、そこで止まってくれます。

 実は、私はHaverhill市に15年以上も住んでいて、この公共バスを使う機会がありませんでした。(大部分の市民は一生使うことがないでしょう。)ところが、最近ひょんなことから乗り合わせることになりました。あるクリニックで特殊な癌検診を受けることになったのですが、自分で車を運転してきてはいけないというのです。幸い、私の自宅からバス路線までは徒歩で2、3分の距離なので、この路線バスを使うことにしました。

 さて、拙宅の近くで首尾よくバスを捕まえることができ、大人の半額の65セントを支払って、席に着きました。支払いに際して、年齢を確認できるIDを見せろ、などと野暮なことは言いません。私の外見は、立派な老人なのです。あらかじめ乗っていた客は7、8人でしょうか、やはり年配者が多いようです。いくらも走らないうちに、大きな病院の正面入り口に止まりました。私は気が付かなかったのですが、入り口には電動車椅子に乗った、中年の女性が待っていたのです。運転手さんが一言アナウンスすると、他の客は一斉に立ち上がり、後部座席に移動してスペースを空けます。一方で運転手さんは自動昇降機を開いて、車椅子を待ちます。車椅子の女性は、慣れた様子で決められたスペースへ移動し、備え付けの装置を使って車椅子を固定します。運転手さんはそばまで来て確認し、昇降機を収納して、発車オーライです。この間、わずか2、3分のことでした。関わった人々全てが、当たり前のことのように整然と行動したことに感動しました。やがて、バスがダウンタウンに近づくと、とある養護施設の前で停車し、車椅子の女性は、自動昇降機を介して何事もなかったかのように降りて行きました。

 このことがあってから、バスに乗るたびに気を付けているのですが、パブリックであるかどうかに関わらず、自動昇降機が設備されているようです。おそらく法律か何かで義務付けられているのでしょう。しかし自動昇降機をバスに設備するには、1台あたり百万〜二百万円はかかるでしょう。バスの運賃収入だけで償却することは極めて難しいと考えられますので、何がしかの補助金が出ているのでしょう。一方、バスメーカーや昇降機メーカーにしてみると、障害者のためとはいえ、出血までしてサービスしているとは考えられません。大儲けまではできないかもしれませんが、それなりに、かなりの規模のビジネスになっていて、利益も出ているのではないかと考えられます。米国ではこのような障害者支援設備の技術は日進月歩です。メーカー間の競争も少なからずあります。

 一方、日本の障害者支援のための設備状況を考えてみると、残念ながらかなりの差があると言わざるをえません。私自身障害者に近い状況ですので感じるのですが、日本の社会環境は、障害者が健常者と同等に生活するには程遠い状況です。日本では、障害者対応というと、何か慈善事業で、寄付やボランティアに頼るのが当たり前であるかのように捉えられがちです。それは歪んだ見方であるように思います。

 日本の政治家は、景気刺激策というと、公共事業に金を回すことであるかのように理解している人々が少なくないようですが、現実には土建業者を儲けさせるだけです。政府や地方自治体の予算が、障害者支援設備に回されれば、設備メーカーの仕事量も確保できますし、障害者自身の活躍範囲も広がることになります。心ある政治家は、考えていただきたいと思います。

 

DKNリサーチ、沼倉研史(マネージング・ディレクター)

(dnumakura@dknresearch.com) Haverhill, Massachusetts, U.S.A.

 

ニュースレターのバックナンバーは次のURLで見る事ができます。

http://www.dknresearchllc.com/DKNRArchive/Newsletter/Archive.html

 

今週のヘッドライン

 

Leibniz Institute(ドイツの研究開発機関)7/16

 有機環状化合物の誘導体が有機半導体の性質を持っていることを発見。有機ELや太陽電池などの有機エレクトロニクスへ向けての大きな前進。

 

Digitimes Research(台湾の市場調査会社)7/18

 民生エレクトロニクス市場での競争が厳しくなっているために、タッチパネルメーカーは産業用途、自動車用途での展開を画策。

 

National University(シンガポール)7/19

 フレキシブルなプラスチック材料の上に磁気メモリー素子を形成することに成功。ウエラブル・エレクトロニクスへ大きな前進。

 

Nokia(フィンランドの通信機メーカー大手)7/20

 スマートフォンメーカーとして再出発。アンドロイドベースの高級機種を2種類、今年末か来年初めにリリースの計画。

 

IDC(米国の市場調査会社)7/21

 第2四半期の世界のスマートウォッチの出荷は、350万台で、前年同期比で32%の減少。アップルの出荷は160万台。

 

Rogers(米国の基板材料メーカー大手)7/20

 アンテナ用に廉価な高機能高周波用ラミネートRO4730G3(UL94V−0)を発表。4G、5G、IoTなどへも対応。

 

Corning Glass(米国のガラス材料メーカー大手)7/21

 携帯機器のディスプレイパネルの保護用に、耐衝撃性に優れた新しいガラスシートGorilla Glass 5を発表。

 

Cando(台湾のタッチパネルメーカー大手)7/21

 7月21日に裁判所に倒産手続きを申請。資産71.26億台湾ドルに対して、負債は93.91億台湾ドルで、債務超過状態に。

 

DIGITIMES(台湾の業界メディア)7/21

 今後、2インチ未満の小型ディスプレイでは、AMOLED(アクティブマトリックスタイプ)よりも、PMOLED(パッシブマトリックスタイプ)の方が有利に。

 

SEMI(米国の半導体製造装置業界団体)7/21

 6月における北米半導体製造装置業界のB/Bレシオは、前月から0.09下がって1.00に。出荷額は増えるも、受注額は減少。

 

NPD(米国の市場調査会社)7/21

 6月における米国のゲーム機の販売は1億8150万ドルで、前年同月比42%の大幅減少。ソニーのPS4がトップ。

 

Samsung Electronics(韓国のエレクトロニクス大手)7/22

 米国でのシステムLSIのデザイン能力を上げるために、テキサス州オースチンの研究開発施設の規模を倍増へ。

 

Bishop & Associates(米国の市場調査会社)7/25

 2015年における世界の軍用、航空宇宙機器用コネクタの市場は、前年比9%減少の31億ドル。

 

Western Digital(米国のHDDメーカー大手)7/26

 64層を形成することにより、次世代の3DのNAND技術BiCSを開発。256 Gigabit 3-Bits-Peer-Cell Chip。

 

Research & Market(米国の市場調査会社)7/26

 世界の指紋センサーの出荷は、2015年の6.491億ユニットから、2022年には32.521億ユニットに成長すると予測。23.2%/年の成長率。

 

HIS Markit(米国の市場調査会社)7/25

 2020年には、スマートフォンのディスプレイがOLED主体に。Apple社のiPhoneが牽引。

 

DIGITIMES(台湾の業界メディア)7/26

 2016年上半期におけるタブレットPC、ウエラブルデバイスの出荷は、当初の予測に比べて低めに推移。アップルウォッチは、スマートウォッチの50%シェア。

 

LeEco(中国の携帯電話メーカー)7/26

 米国の民生用電子機器メーカー大手のVizio Inc.を20億ドルで買収へ。

 

LG Display(韓国のディスプレイメーカー大手)7/26

 2兆ウォン(17.5億ドル)を投資して、フレキシブルOLEDスクリーンの生産能力を大幅増強へ。

 

MFLEX(米国のフレキシブル基板メーカー最大手)7/27

 中国蘇州のSuzhou Dongshan Precision Manufacturing社に6.1億ドルで売却することで合意。

 

 

Hon Hai Precision(台湾のEMS最大手)7/28

 2016年上半期における特許出願件数は176件でトップ。2位はディスプレイメーカー大手のAUO社で133件。

 

 

 

DKNリサーチのイベントスケジュール

 

コンバーテック技術セミナー 2016年12月2日北トピア

  「フレキシブル・エレクトロニクスとRTR生産」

 

最近のDKNリサーチの論文、出版物

 

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